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危機迫る物流業界!再配達撲滅に向け ~求められる利用者の協力~

危機迫る物流業界!再配達撲滅に向け ~求められる利用者の協力~

現代、ネットショッピングの世帯利用者率は、過去10年間で全年代が上昇しています。現在では全年代平均で約7割以上が、ネットショッピングを利用しているというデータもあります。お店に足を運ばなくても欲しいものが自宅に届くというシステムは非常に便利なもの。それはネットショッピングに限ったことではありません。高年齢者においてはインターネットができなくても、電話やFAXを利用して買い物ができる通販利用者も多いものです。

その背景にあるのが「物流業界」です。発注した商品が手元まで最短で安全に届く、という今では当たり前とも言える状況は物流インフラの賜物と言えるでしょう。しかし、その物流業界が脅かされているということをご存知でしょうか?

商品のピッキングから出荷に関わる倉庫スタッフ、お客様のお手元まで配達するスタッフなど、配送には多くの人員が必要とされます。しかも膨大な荷物を取り扱わなければならない中、人手が不足しているのです。それでいながら再配達の件数が増えているという現実があります。ヤマト運輸が値上げに踏み切ったことも関係するこの「再配達」について注目していきます。

再配達にかかる負担

通販業界の売上の増加に比例し、荷物の件数も増えています。そんな中、宅配業者がお客様の荷物を道路に叩きつける、といったニュースは運送会社を利用するお客様および運送会社関係の人たちに、大きな衝撃を与えました。さまざまな理由が考えられますが、もちろん許されることではありません。しかし、スタッフにかかる負担が大きなものだったことも理由の一つでしょう。

実際、配送スタッフにかかる負担は計り知れません。荷物の増加に伴い、配送スタッフが運ぶ荷物も増えているのです。さらに問題となっているのが再配達です。再配達というのは同じ場所に最低2回は行かなければなりません。お客様の要望に応じた時間に配達するということも負担になるでしょう。配送スタッフの負担は大変なもの。2014年12月のサンプル調査によると、その再配達の個数のうち、約2割が再配達となっているとのことです。さらに再配達の増加だけではなく、人手不足も深刻な問題となっているのです。再配達による社会的損失は大きく、この状況を改善していくことが重要だと考えられています。

荷物の受け取り方の変遷

増える再配達を防止するために、業界ではさまざまな動きが見られています。その一つが宅配ボックスの設置です。

宅配ボックスによる再配達削減効果

宅配ボックスがあれば、お客様が留守でも宅配ボックスに荷物を入れることができるので、再配達をしなくてすむ、というメリットがあります。お客様にとっても、宅配ボックスはメリットが多いもの。荷物が来るからとそれを待っていなければならないこともなく、自由に外出することが可能です。自宅にいても、手が離せないときなどは、宅配ボックスを利用してもらえばすむこと。宅配ボックスの設置は、配送業者だけではなく、荷物を受け取るお客様にとっても便利なシステムです。

宅配ボックスはマンションでの設置はよく見かけるようになりましたが、一軒家ではまだまだのようです。再配達があるからと思うと、わざわざお金を出して宅配ボックスを設置しようとは考えられないのでしょう。しかし、再配達が大きな問題となっている現在、考慮する必要もありそうです。価格帯もいろいろ。デザインも豊富です。子どもがひとりで留守番をしているときなど、子どもが対応しなくてすむという安全対策にもなるでしょう。

再配達の削減に向け、国や民間においてさまざまな取り組みが進んでいます。環境省の「COOL CHOICE推進チーム」では、「COOL CHOICE できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン~みんなで宅配便再配達防止に取り組むプロジェクト~」のイベントを開催。再配達防止の重要性などを国民に伝える取り組みを行っています。楽天においては、荷物を1回で受け取った場合には、楽天スーパーポイントを付与するなどの取り組みも実際しています。

パナソニックと福井県あわら市が行った「宅配ボックス実証実験」は、宅配ボックスがどれほど便利で再配達防止に役立つか、といったことを国民に広く伝えた取り組みです。この実証実験では、共働き世帯が宅配便の再配達によって受けるストレスについてのデータや、ドライバーの労働時間、トラックの排ガス・温室ガスの削減効果などを報告しています。2017年2月24日の中間報告では、宅配ボックスの設置により再配達が4割減となり、ドライバーの労働時間は約65.8時間も削減されたそうです。

自宅以外でも受け取れるシステムの導入

再配達対策としては宅配ボックス設置のほか、自宅以外でも受け取れる方法を導入している通販業者も増えています。

ヤマト運輸ではコンビニ受け取りサービスを導入。EC店舗で注文した商品を、自宅や職場の近くにあるコンビニを指定して、そのコンビニで受け取るというシステムです、利用料が無料という点もメリット。これなら再配達をしなくてもすみます。このサービスを利用できるEC業者の一つが楽天です。楽天で買い物をした荷物はコンビニでも受け取ることができるのです。

 

良き環境を維持していくためには

通販やネットなどを利用することで買い物が便利に、より簡単にできることが当たり前となってきていますが、その背景には多くのサポートがあることで実現しています。今後は、さらに伸びることが予測されるEC業界ですが、現在のままでは間違いなく出荷量に追いつけずパンクしてしまうことでしょう。現にヤマト運輸では料金の値上げ、再配達締切時刻の変更など、利用者にとってはデメリットとなる動きがあります。しかしこれはけしてヤマト運輸だけを責められる問題ではないことは、分かっていただけたはずです。

 

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