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『今後のオムニチャネルと物流』逸見光次郎コラム(最終回)

『今後のオムニチャネルと物流』逸見光次郎コラム(最終回)

逸見光次郎コラム「オムニチャネルと物流」(全6回)

今後のオムニチャネルと物流

最終回は過去5回の話を踏まえて、今後のオムニチャネルと物流について考える。

これまでオムニチャネルの主要素である商品、販促・CS、WEB・IT、経営戦略のそれぞれと物流の関係をお伝えする中で、オムニチャネルと物流がとても密接な関係にある事はご理解いただけたと思う。その上で、今後のオムニチャネルと物流において重要となるテーマについて触れたい。

共同倉庫、共同配送

共同配送

特に長距離ドライバーの不足により、トラックがあっても、動かす人が足りないのが現状だがこの状況は今後、より悪化していく。そして運送の利便性から港湾部や、高速道路インター近くに置かれた物流倉庫は、居住地から遠いため、より労働力不足のあおりを受けている。

こうした中で、運送会社同士が価格や受注競争をするのではなく、協力できる部分は協力する時代に変わるのだと思う。これまでも長距離の基幹物流部分は混載もあり、メイン倉庫を大型物流センターの中で各企業が区画別に利用する事もあった。しかしこれからは近距離の配送や、近隣のデポの共同利用まで行わなければ物流網が維持できないと考える。

 

出版物流では実際に起きている事だが、積み下ろしをする拠点数はコンビニ+書店で増えたものの、一か所あたりの積み下ろし量は少なくなっていく。それだけモノが売れなくなってきているからだ。その為、立ち寄る場所は増えても、荷主からの支払いは増えない。米国では既にオーバーストアと言われ、各店舗の売上が下がり、店舗の統廃合が始まっているが、日本でもこれから同様の事が起きると考えている。

このようなB2B配送においては、いまも地域ごとに混載のルート配送便があるが、この流れをもっと加速するべきだと考えている。B2Bは不在配達もなく、複数企業の店舗や事業所など、同一エリアでの配送先が増えるほど、より効率良く配送計画が組めるからだ。

一方で短距離配送のB2Cも可能な限りの混載便になっていかなければならない。特に今後需要が増える日用生鮮品は、通販/EC販売、店舗からの配送など各社がそのサービスを競っているが、商品内容や品質の競争は継続しながらも、配送に関しては各社苦戦しているのが実情だ。そこで冷蔵/冷凍品の配送について、オリコンや保冷、梱包方法の研究は引き続き行いながらも、地域内の配送拠点(デポ)とトラックをどう共同利用していけるかの取り組みがこれから必須になると考える。B2B同様、同一エリアで配送先が増えれば増えるほど。効率の良いルート組みと配送ができるからだ。

拠点受取/宅配ロッカー/宅置き/返品対応

宅配ロッカー

このように物流業者側が努力する一方で、利用者側の変化も必要である。筆者自身は第4回でも触れたようにセブンイレブン受取を利用したECからオムニチャネルをスタートしたが、この時の驚きはネットからの注文者の7割が最寄りのセブンイレブン店舗での受取を選択した事である。海外でもイギリスの百貨店ジョンルイスは、全英に自社店舗以外でガソリンスタンドやニューススタンドなど5,000か所以上の受取拠点を選ぶ事ができる。日本と違って受取手数料を3.5ポンド取るのだが、イギリス全体で”クリック&コレクト“といわれるネット注文→店受取が非常に増えているのだ。元々の物流網がそれほど良くなかったいう背景があるものの、各国で店舗受取が増えてきているのは事実だ。

店舗での対面受取以外にも、宅配ロッカーでの受取も増えてきている。Amazonロッカーは駅構内や都市中心部の駐車場、商業施設内に設置されている。日本ではヤマトによるPUDOの取り組みや日本郵政によるロッカー事業があるが、他の物流と同様、統一規格で、各社併用で運用できる方が、事業者側も負担が減り、利用者側の利便性も良くなり、利用件数の増加が見込める。

そして受取だけではなく、返品も同様の各サービスで対応できるようにする事も重要だ。米国ではコールズが、イギリスではNEXTがAmazonの受取/返品に対応している。一方日本では、自社EC返品の店舗対応もできていない企業が多く、まずはここから取り組むべきだ。

プラットフォームアプリと納期指定&スロット料金

事業者、利用者がそれぞれ変化に対応し、利便性やコストを最適化していく中で、筆者が根本的な課題と考えるのが納期指定の話だ。

現状はヤマトや郵政などの日時指定スロットをECの注文時に指定する仕組みだが、その後、配送途中での日時変更も例えばヤマトならクロネコメンバーズに登録していれば最寄りの営業所からの配送を、直近の自身の予定に合わせて変更する事ができ、再配達が減らせる。

さらに配送希望が集中する時間を分散させるために、スロットごとに配送料金を変える企業も出てきている。集中する時間は料金を高くすることで、利用者が自身の時間に合わせて費用対効果を考えながらきちんと時間を選択する。

日本では平日夕方から夜、休日午前に配送希望が集中する。もしここにスロット別料金が実現できれば、日によって家族の誰かが平日昼間に在宅していればそこを指定するようになり、配送希望時間を分散させる事ができるだろう。

その為には、ECや宅配サービス申し込み時にきちんと空き時間とその料金が提示でき、かつ実際に利用したスロットによって配送料金を回収する仕組みが必要だ。

例えば中国のウィーチャットペイのように、SNSのメッセージアプリに決済機能が載ることで、そのプラットフォーム上でECや店舗のサービスが利用され、代金決済も行われ、後日の金額修正も可能になる。今は各事業者やAmazon、楽天などの各プラットフォーム事業者にゆだねられている配送時間と料金の選択が、統一の規格と情報流通によって、日本全国でできるようになってほしい。

さいごに

第1回でオムニチャネルでは、単に店やECなどで購買チャネルをまたがって商品購入やサービスが利用できるだけではなく、企業と顧客の双方向性のコミュニケーションが重要だと触れた。

オムニチャネルにおける物流についても、企業側と利用者側が世の中の変化に対応し、最適化するために双方が寄り添う事が大事だと考える。

これまでの“すぐ届く”“早く届く”ことだけが物流サービスの目的ではなく、様々なライフスタイルや経済の変化によって、最適なタイミングで届く、受け取れる事が目的に変わってきている。海外に比べてきめ細やかな日本の物流を、物流事業者と利用企業、個配業者と消費者、企業内では経営と現場、それぞれが我が事として捉え、協力して取り組み、変化しながら支える続ける事が重要だ。

 

社会インフラと生活が様々な情報通信やデータによって結びつく中、オムニチャネルと物流という輪の中に関係する人たちが繋がり、より良い方向に進む事を期待する。

 

逸見光次郎コラム「オムニチャネルと物流」(全6回)

オムニチャネルコンサルタント
逸見 光次郎 氏プロフィール

1970年生まれ。1994年、三省堂書店入社。1999年、ソフトバンク入社。イー・ショッピング・ブックス立ち上げに参画。2006年、アマゾンジャパン入社。2007年、イオン入社。ネットスーパー事業の立ち上げと、イオングループのネット戦略構築を行う。2011年、キタムラ入社。EC推進本部副部長、ピクチャリングオンライン代表取締役会長(2012年9月にキタムラ統合)、執行役員EC事業部長、執行役員オムニチャネル(人間力EC)推進担当。2017年、個人事業主としてオムニチャネルコンサルタント活動を始める。同年、ローソン入社。マーケティング本部本部長補佐、同年退社し、コンサル契約に移行しローソン銀行立ち上げに関わる。2018年に千趣会執行役員マーケティング副本部長に就任。現在は、フリーのコンサルタントとして流通業界のオムニチャネル化のための講演活動や複数の流通事業会社のオムニチャネル化を支援中。

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