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小橋重信コラム『物流の未来』後編 (最終回)

小橋重信コラム『物流の未来』後編 (最終回)

小橋重信コラム「攻めの物流 守りの物流」(全6回)

時代はロボティクスへ

前回 「物流の未来(前編)」では、これまでの振り返りから、物流が経済を支えていることや、商流であるビジネスがテクノロジーによって変革するとともに、物流の生態系も変わってきていると書かせていただきました。とは言え、ロボティクスやIoTなどの言葉がバズワード的に騒がれているのは、一部の大手企業の話で、身近な物流現場は昔ながらのスタッフで、なんとか人をかき集めてきて日々の入出荷に追われていて、それほど変化を感じていない物流倉庫も多いのではと思います。

確かに、ロボティクスなどによって自動化(=省人化)が進んでも、まだまだ物流現場は、製造現場と違い 「人」 に依存した仕事が多いです。生産性についても、ロボットよりも「人」の能力の方が、まだまだ高いです。特に、自分がこれまで関わってきたアパレル向け物流は、予測できないことの連続で、経験値での臨機応変な対応が求められます。 また、物流ロボットやマテハンなどを導入するとなると、億単位の投資となり、中小物流倉庫会社では、とても手が出せる代物ではないです。

実際にロボットを物流現場に導入できているところは、ユニクロのファーストリテイリングや、ニトリなどの超大手企業のみで、それ以下の中小企業の物流現場は、これまでと同じ、人による「労働集約型」の物流が続くのでしょうか?人口推計では、高齢化とともに労働人口が減少、労働賃金も上昇する中で、「人」の確保が難しくなっています。人口の減少はGDPにも影響するのですが、GDPの低下とは逆行して、EC化率は伸びているので、物流そのものが低空飛行になるとは思えないです。お客様が店頭に足を運んで購入から、インターネットで届けてもらう購買行動を考えると、物流における「人不足」の問題は、これからもっと悪化します。

現状維持は衰退

それにも関わらず、多くの中小企業はその問題に 「じっと嵐が去るのを待つ」、 「きっと誰かが解決してくれる」 と思っているように感じます。宅配クライシスと言われる「ヤマトの配送費問題」もおきました。これまで、多くの物量をもっている会社が、物量を理由に安い配送タリフを配送会社で運んでました。この事件をきっかけに「荷主が配送会社を選ぶ」 から 「配送会社が荷主を選ぶ」へ と立場は逆転しました。 最近 物流の相談を受けていて感じるのは、物流会社も荷主をこれまで以上に荷主を選ぶようになってきています。となると、ECでの売上を伸ばしたくても、これまでと同じ条件で物流や配送をしてくれる会社がなくなる。 このことは中小企業を中心に日本の小売りや流通業において致命的です。そんな中、自社での配送網も視野に巨額の売上と投資を武器にAmazonがすべてを呑み込んでいく・・・

大手企業と大手企業とのM&Aが続いており、日本でも、ヤフーのZOZO買収は衝撃的でしたが、Amazonや楽天との最終決戦に備えて、ZOZOを物流ごと傘下に収めました。この3強の戦いにこれまでの小売業はどう対応すべきなのでしょうか?

物流の変革期

自動搬送ロボット

物流から少し脱線しましたが、物流にもこの大手企業に呑み込まれる状況が起こるのではと危惧しております。これまで、労働集約型で、それぞれが専門的と言うか、属人的だった物流が、巨額の投資による装置産業として変わろうとしています。 その流れはアパレル物流にもおきています。前職の時に競合と言えば、同じような数社のアパレル物流会社がメインでしたが、最近では日立物流、センコー、ダイワハウス、佐川と言った大手3PLや、DHLなどの外資系3PLなども、これまでSKUが多く、季節変動が多く、面倒だと言われたアパレル物流にも参入してきています。

そして、大手3PLが進めているのが、ロボティクスを活用した、省人化物流です。これまでの「人」に依存した物流を、標準化によってオートメーション化にシフトしていこうとしています。とは言え、製造現場と違い、一定の流れではなく物流波動があり、個別の動きなども多いため、標準化が難しい現場での自動化は、簡単ではないですが、何事もトライ&エラー、このノウハウを蓄積できた企業は強いと思います。

キーワードは「標準化」

物流におけるシェアリングの流れは、ユニクロなどの大手企業だけでなく、中小の小売企業もこの恩恵を受けることができます。ここでもキーワードは「標準化」です。商品コードなどを独自だけのものから、統一コードなどに切り替えることで自動化の流れに乗せることができます。 ここでも「標準化」が重要で、これまで独自のやり方にこだわってきて企業にはハードルの高い話です。 特にそのこだわりを捨てることが本当に良いのかは、自社のお客様の望んでいる、その会社の存在価値から考えないと答えがでないかと思います。

ただ、日本企業は「モノ作り」であるハードにこだわり、ITなどのソフトを軽視したことが、衰退につながったとも言われています。現在 物流関連の会社でも話題になっている会社は、ソフトであるテクノロジーを中心に考えて、「つながる」ことや「シェア」などのキーワードにハードの世界を再構築しているようにも感じます。これから5年、10年先、物流も大きくかわっていくと思います。その流れにのるためには、これまでの常識をぶっ壊す必要があると思います。 まさにコラムのテーマである「攻めの物流」です。

 

最後に

これまで6回にわたりコラムにお付き合いいただき、ありがとうございます。物流のことが少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。今回 このような機会を頂けたフジテックス様には、本当に感謝しております。ありがとうございました。

「物流の大切さを伝え、物流からビジネスを元気にする!」 をミッションにこれからも活動していきます。 熱く物流を語りたい時は、是非ご連絡ください。

 

小橋重信コラム「攻めの物流 守りの物流」(全6回)

株式会社リンクス 代表取締役
小橋 重信 氏プロフィール

アパレル会社での在職中に上場から倒産までを経験、在庫が滞留することの怖さを知る。その後の物流会社にて多くの荷主の物流の導入から課題解決を進める。IT企業での実務経験も経て、ファッション業界を知り、物流会社の経験を活かした現場視点での課題解決。現在は「ファッション×IT×物流」の分野で物流コンサルとして活動中。

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