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菊田一郎氏講演セミナー「ポスト/ウィズコロナ時代の物流を持続可能に」レポート

菊田一郎氏講演セミナー「ポスト/ウィズコロナ時代の物流を持続可能に」レポート

月刊マテリアルフロー(株式会社流通研究社)の前編集長で、2020年5月に独立しエルテックラボ代表として活動を開始された菊田一郎氏に「ウィズコロナ時代の物流を持続可能に~協働・シェアと物流テックによる自動化・非接触化へのチャレンジ」というテーマのもと、“物流を止めるな”という観点をもって講演をいただきました。以下、セミナーの内容を一部抜粋しレポートいたします。

ウィズコロナ時代の需要変化と物流現場

EC需要=EC物流需要の急拡大

コロナ禍によりEC需要が急拡大し、一時は売上が150~500%増となった企業もあった。自動車や輸送機械製造業は大打撃を受け、化粧品やアパレルはリアル店舗閉鎖・自粛による売上消滅の半面、代替需要によってECでの注文が大きく伸びた企業が多かった。また、巣ごもり需要によって自宅のスポーツジム化、ビストロ化などによってスポーツ用品や食品なども大きくEC需要が伸びた。マスク、衛生用品、体温計、サプリなどのヘルスケア需要、花・ガーデンニング、DIY用品など自宅環境変化などによる需要も大きく伸びた。

これだけEC需要が拡大したにも関わらず、以前から足りないと言われていたラストワンマイルの宅配が破綻しなかったのはなぜなのか。それは、「高在宅率」や「置き配」などによる配達の完了率が上がった結果と考えられる。

このようなニューノーマルの中に、ますますECが定着し、コロナ禍によって5年、10年分ほどの変化が一気に促進されたという指摘もある。現在のEC化率はどうなのか、経産省のデータ*1 によると昨年は6.76%となっているが、今年から来年にかけ、10%超も視野に入ってくるだろう。
*1) 経済産業省「電子商取引に関する市場調査結果」、2020年7月22日

今後、さらにECの配送需要が拡大した時にいかに持続可能なものにするのかが課題となる。

物流現場に求められる変化

このような状況下で物流に求められる変化とはなんなのか。感染防止などの衛生管理面においては、当然のこと三密回避、ID入退場・入退出管理や、検温、消毒、会議室・食堂でのソーシャルディスタンス確保が求められる。最新の事例としてはARを活用したソーシャルディスタンスを回避する技術がAmazonでは採用されているという。

現場作業ではデバンニング、ピッキング、パッキング、朝礼夕礼など、人海戦術や人が密集する環境を可能な限り排除する必要がある。
その他、コロナウイルスの感染対策で重要な換気面においては、窓・扉の開放など、夏冬の空調、大型天井扇風機、物流施設設計にも新たな工夫が必要となる。
非接触/非対面、ペーパーレス化が新たなトレンドとなり、さらなる進展を見せるだろう。
例えば、ハンディ端末、音声端末、スマホなどを一層活用すること。AI OCRで日付を自動読み取り・入力する技術や、スマホでカメラをかざして荷物の三辺計測をする技術が出ている。

DX化・自動化の企業事例

DX・自動化を推進されている注目企業事例を紹介する。

  • 美容院向け商材の専門商社である きくや美粧堂では、自社で物流を企画運営しており、オムロンのAMRを導入。その他、寺岡精工の自動で三点計測を行う装置、カーデックス社のバーチカルカルーセル(垂直式回転棚)も導入している。

  • 株式会社PALTACの最新鋭物流センター事例としてRDC埼玉を紹介。自動化ロボティクスのメーカーであるRIGHTHAND ROBOTICS(ピースピッキングロボット、現在はオカムラが代理店として取り扱い開始)、MUJIN(パレタイザー/AIケースピッキングロボット、KYOTO ROBOTICS(デパレタイザー/AIケースピッキングロボット)の3社のロボティクスを採用し自動化ラインを設計している。

  • ZMP社の搬送ロボットCarriRoを紹介。追尾型の搬送、床に貼り付けたランドマーク信号に沿った搬送をする方法、SLAM型制御などフレキシブルな使い方ができる。
    また、同社の無人宅配ロボットDeliRoも紹介。慶応大学のキャンパスで実験をしており、学生がスマホからお弁当を注文。指定した時間と場所にDeliRoが運んできてくれる。

  • ZMP Youtubeチャンネル「zeromomentpoint」より

    これらロボットの導入についての注意点として、ロボットを入れれば簡単に人ひとりをロボットで容易に削減できるということではなく、本気になって取り組まなければ費用対効果を出すことは難しい。

  • マイクロフルフィルメントの事例として、ロボット自動倉庫オートストア(日本の正規代理店はオカムラ)を店舗のバックヤードに設置し、店員の棚出し作業を簡略化したり、カーブサイド・ピックアップサービスとして閉店後にもオンラインで注文した商品を一般顧客が自分で直接取り出すということが可能になる。
    こういったマイクロフルフィルメントという物流と流通が一体化した仕組みは、米国などで拡大しており、今後日本の小売業界でも注目されるのではないだろうか。

  • ファーストリテイリングとダイフク、MUJINの3社が手を組んだ物流の自動化事例を紹介(以下の動画参照)。ロボットによるピッキング・箱詰め作業、RFIDによる検品作業で自動化。

MUJIN Youtubeチャンネル「mujinvideo」より

これから物流はどうなるか・どうするか

DX・自動化の進展で物流は装置産業化するのか?

物流(輸配送、構内作業)自動化・DX化は不可避。これは生き残りの前提となる。今後、時給2,000円時代の到来も予想される。欧州調査によると2030年には倉庫ロボットで150万人超の省人化が可能になるという。一方でこうした物流DX化は、「格差の拡大・固定」「弱肉強食資本主義」を助長するのではないかという懸念があり、よく留意すべき。
たとえば物流現場の継続運用、パフォーマンス維持・向上の鍵は未来も「カイゼン」にある。物流管理者の執念・熱意、現場ワーカーとのコミュニケーション+モチベーション+プライドがこれからも必要となる。
はたして、「属人的作業」「気合と根性」「義理人情」は、本当に排除すべきなのだろうか?
また物流が装置産業化するのであれば、中小の物流関連事業者は生き残れないのか?現場と店舗から人間は不要となるのか?

これに対して、中小でも生き残るための施策として、プラットフォームへの相乗りによる共同化・協働化、シェアリングがカギになるのではないだろうか。そして、これらを実現するためには標準化が大前提となる。そして、ロボットや自動化設備のレンタル・リース、従量課金・月額など低額・定額サブスクリプションサービス(RaaS)などが期待される。

ならば、必要なのは「気合と根性、義理と人情、使命感を理解するAI」か?
ヒューマンAIベースの「ヒューマン物流DX」、ロジスティクス4.0からの「ロジスティクス4+」への進化を模索しなければいけない。

セミナーレポートは以上となります。さいごの「ヒューマン物流DX」や「ロジスティクス4+」については次回の菊田一郎氏のコラムにて詳しい内容を書いていただく予定です。お楽しみに!

L-Tech Lab(エルテックラボ)代表
菊田一郎

1982年、名古屋大学経済学部卒業。83年株式会社流通研究社入社、90年より月刊「マテリアルフロー」編集長、2017年より代表取締役社長。2012年より「アジア・シームレス物流フォーラム」企画・実行統括。06年より東京都中央・城北職業能力開発センター赤羽校「物流の基礎」講師、近年は大学・企業・団体・イベント他の講演に奔走。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える―メーカー・卸売業・小売業・物流業 18社のケース」(白桃書房、共著)、「物流センターシステム事例集Ⅰ~Ⅵ」(流通研究社)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(社会保健研究所、11年改訂版、共著)など。2017年より大田花き株式会社 社外取締役(現任)。2020年5月に流通研究社を退職。6月1日に独立し、L-Tech Lab(エルテックラボ、物流テック研究室)代表として活動を開始。

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