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世界最大級の物流展示会『CeMAT ASIA 2019』視察レポート その3(最終回)
前回に続き、中国・上海で開催された世界最大級のマテリアルハンドリングの展示会『CeMAT ASIA 2019』の視察レポート(最終回)をお届けします。
進化する入庫、検品のソリューション
バンニング、デバンニングの効率化
CeMAT2019では日本ではあまり見ることのできない新しいソリューションが数多く展示されていました。この「伸縮コンベア」は通常時5,000mmで最大15,000mmまで伸ばすことができ、トラックやコンテナに、伸ばしたベルトコンベアを差し込みスピーディーなデバニングができるという製品です。
メーカーに話を聞くと、中国の倉庫では当たり前に使われており、大手メーカーであれば月に1,000台ほど販売をしているそうです。
人手で一つひとつデバニング作業を行っている企業にとっては、ドライバーの負担軽減、時間の削減、省人化に効果が出るのではないでしょうか。
画像認識技術による検品・計測作業
画像検品、計測、バーコードスキャンのソリューションも多く見ました。画像認識による検品で、正常な形のダンボールを登録しておけば凹み、汚れなどがある商品はソーターなどではじく事ができます。人が目視でひとつひとつ確認している場合と比較すると、作業者の負担軽減や生産性向上に大きく貢献するのではないでしょうか。
コンベアメーカーが自社のコンベアと組み合わせて画像検品もコンベアの途中で行えるようにしているメーカーが多くありました。
無人“3Way”フォークリフト
無人フォークリフトは昨今さまざまなメーカーで開発されていましたが、今回のCeMAT2019には無人での自動走行3WAYフォークリフトの展示もありました。
日本でも人手不足の影響もあり、フォークマンの定着、人材確保が難しく、人件費も増加傾向にあります。3WAYフォークの利点としては、ラック間の通路幅を車両幅とほぼ同等に抑えることができるため、スペースを有効に活用できるのが大きな特徴です。ラックとの組み合わせで、高所空間を活かした大量保管と効率的な入出庫作業を実現できます。
人が運転する3WAYフォークリフトのデメリットは、通路幅が狭いため、運転・操作が難しく、安全対策という点で考えると熟練している方に任せるしかないでしょう。
この熟練された運転手でないと操作できない3WAYフォークが自動化されたらどうでしょうか。ロボットによる完全コントロール、カメラやレーザーSLAMでの障害物認識は省人化、効率化に繋がりますし、自動倉庫などに比べると導入しやすいことが予測されます。
CeMAT ASIA 2019 視察を終えて
中国では、一般的だと考えられているが、日本では全く浸透していないという物流ソリューションが存在します。
日本は物流においても、正確・丁寧・きれいに仕事をしますが、中国では自動化された工程の中で荷物を落とす場面などが見られます。ロボットが掴んで袋に落とすという方法は日本の場合、商品に傷がつかないかなど心配になってしまいますが、そこはやはり文化の違いが大きいと思います。しかし、人手不足が深刻な状況にある日本は、中国のチャレンジングな姿勢は特に見習うべき点も多いと感じます。
中国は、ロボットなど自動化への投資も、中長期的な視点で「最初は失敗する」という前提のもと、常に改善を繰り返しながらノウハウを蓄積し、生産性を向上させていきます。
日本の物流が、今と同じ人手に頼らざるを得ないやり方で、10年先も20年先も同じようにできるのだろうかと今回の展示会視察を通して考えさせられました。