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サイバー攻撃の「被害者」から「専門家」へ 関通が語る攻撃からの復活への道

2025年10月16日に発行した冊子「物流倉庫ジャーナル 32号」では、株式会社関通とのサイバー攻撃に関して行った対談記事を掲載します。
2024年9月にサイバー攻撃という未曽有の危機に直面した株式会社関通。この貴重な被害体験を包み隠さず綴った一冊の書籍から、現代の経営者に必須の危機管理の教訓をご紹介します。
「明日は我が身」—この強い思いのもと、関通がどのように事業継続の道を切り開いたのか。その真髄に迫ります。
「被害者」から「社会を停滞させない専門家」へ
サイバー攻撃を受けた当時、被害事例の公表はほとんどありませんでした。しかし関通は、この事実から目を背けることは、社会を停滞させる「加害者」になることだと判断。「準備さえしておけば復旧できる」という教訓を、すべての企業と共有することを使命としました。
攻撃側が組織的に連携するのに対し、被害者側は孤立しがちです。この非対称性を打ち破るため、関通は復旧までの時間をKPIとして設定する独自の対策を打ち出しました。
危機を乗り越えた鍵 「捨てる覚悟」と「お客様との連携
この危機において、関通が最優先したのは「意思疎通と連携」です。特に、二次被害の可能性を排除するために、システムやネットワークをすべて廃棄する「捨てる覚悟」を決めました。この大胆な判断が奏功し、結果的にデータの漏洩は防げました。損失を覚悟してでも、お客様に二次被害を与えないという強い信念が、この危機対応の根幹です。
また、サーバーアクセスが不可能になった際、お客様自らが請求に必要なデータを提供してくださるなど、お客様の信頼と献身的な協力がなければ、この危機は乗り越えられませんでした。物流事業で解約がわずか2件にとどまったのは、「常に当事者意識をもって対応してきた成果」だと語られています。
サイバーセキュリティをライフワークに:「臆病さ」を力に
この経験は経営者に大きな変化をもたらしました。「何か危険なことが起きるのではないか」という兆候に敏感になる「臆病さ」こそが、未来の危機を予見し、未然に防ぐための重要な力になると関通は確信しています。
現在、関通は専門家とともに「サイバーガバナンスラボ」を立ち上げ、被害者としての経験と経営者としての復旧ノウハウを活かした低コストで実践的な予防策を、社会貢献と新たなビジネスとして展開しています。
すべての企業で備えを
サイバー攻撃や人為的な悪意を完璧に防ぐことはできません。しかし、重要なのは「第三者にも説明できる準備」と「有効な対策体制」を構築しておくことです。特にサプライチェーンを担う物流企業は、事業継続のために、月に一度でもサイバーセキュリティへの取り組みを行うことが、大きな被害を防ぐ鍵となります。
関通の壮絶な体験から得た、危機管理の本質をぜひ書籍や記事の全文でご確認ください。