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顧客(荷主)の急速なニーズ変化
厚生労働省の「労働経済動向調査」のデータからも分かる通り、昨今の人手不足により、運送をはじめとする物流業界では労働者が大幅に不足しています。
一方でインターネットの普及により、EC市場が急速に拡大する中で、運送・物流業界では『仕分ける』『届ける』というニーズは右肩上がりで増えており、それに対応する上で、人手不足は様々な影響をもたらしています。 今回は人手不足が発端となり起きている現象、それに伴い変化する顧客ニーズに注目していきます。
人手不足がもたらす現象
人手不足倒産
近年、従業員の離職や採用難などの人手不足による「人手不足倒産」が増加しています。2018 年( 1~ 12 月)の「人手不足倒産」は 153 件発生、調査開始(2013 年)以降の最多を更新しました。その中でも業種細分類別の6 年間累計件数では、「道路貨物運送」が43 件で最多。このうち2018 年は21件(前年9 件)発生し、前年比2.3 倍に急増しています。
出典:2019/1/15 帝国データバンク「人手不足倒産」の動向調査(2013~18 年)より
求人を出しても集まらない、集めるために人件費上げる・・・といった“求人難”や“人件費高騰”問題によって競争激化しています。また業務量がパンクし顧客の依頼に対応しきれず、せっかく取った仕事も見合わせるケースも相次ぎ、倒産に繋がっています。
長時間労働
EC市場の拡大は、『仕分ける』『届ける』という人手に頼る業務を増やしています。また再配達の問題含めて、これまでの高いサービス品質を保つ上で、従来以上の労働力・労働時間の確保が必要となっています。
オペレーションコスト増大
人手不足の中で人手を確保するために、多くの企業が人件費を上げて、採用広告(経費)をよりかけています。そして採用後の教育にも多くの時間とコストをかけているのが現状です。結果的に人手不足が、全体の収益を圧迫させている要因となっています。
外国人雇用
外国人労働者の受け入れを拡大する、改正出入国管理法が成立し、人手不足の解決策として物流業界にも受け入れが見込まれます。しかし既に外国人雇用をしている物流企業では解決すべき課題もまだまだあります。
課題
- 日本語が分からない
- 文化や習慣の違いがある
- 教育にかかる時間・労力
- 品質低下
顧客(荷主)の急速なニーズ変化
人手不足により起きている現象・弊害は自社の課題として捉えがちですが、一方で顧客(荷主)への影響、ニーズの変化にも繋がっています。顧客からよくある話・相談をまとめました。
顧客からよくある話・相談
- 今後、ECを軸に売上を伸ばしていく方針がある。ただし、今の物流オペレーションを見直さないと1日の出荷を伸ばせない。
- 出荷を伸ばすためにシステム化した倉庫に任せたいが、現在の委託先倉庫では提案をしてくれない。
- 外国人の採用が増え、誤発送や梱包品質の低下で、クレームが増えている。
- 人手不足による、オペレーションコスト・配送コスト増が続くと、ECでの競争力を失いかねない。
人手不足がもたらしている、様々な現象が自社の成長戦略にも大きな影響が出ると考える顧客が急速に増えています。その中でも取り分け、物流については「戦略を考え、見直しすべきポイントだ」という声が増えています。人手不足は、大きな社会現象であり、それそのものを是正するというのは、民間企業では限度があります。人手不足であることを踏まえた上で、これまで以上に顧客とのコミュニケーションを深め、より経営・営業戦略を理解した上で、顧客のニーズに合わせた、提案型の営業が必要になるでしょう。
時代や社会変化に応じて、顧客ニーズも変化し続けます。顧客ニーズを正確に捉え、自社のサービスとして展開していくことで、顧客満足・継続的な取引関係に繋がり、そこから新たに生まれるサービスが、自社の強み、他社との差別化になります。また顧客も、ともに成長・進化出来るパートナーを求めています。
※こちらの記事は物流倉庫倉庫プランナーズジャーナル第19号(2018年3月発行)をWEB用に編集し直したものです。