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BEAMSインタビュー 物流IoT最前線~BEAMSの今とこれから~【中編】
株式会社ビームスホールディングス ロジスティクス本部 副部長 竹川誠氏インタビュー
運用開始までのコミュニケーション、トラブルなど(導入~運用)
RFID導入当初、想定外な出来事やトラブルなどは発生しませんでしたか?
やはり、前例がない中で開始しましたので、想定外なことやトラブルはいくつかありました。シリアル管理になることで、データ量が増加しサーバーのパフォーマンス低下が起こったり、ドラスティックな効率化が新たなボトルネックを生んだり、導入から1年はそういった細々したトラブルの収束に時間を費やしましたが、今現在は安定稼働できています。
今までのやり方を捨て、新しいことに切り替えることに反発などはありませんでしたか?
最初は、気後れや苦手意識はあったかもしれませんが、バーコードスキャンがRFIDスキャンに変わっただけなので、やってみれば簡単だったという声が大半でした。
全国のショップスタッフへの教育面などは、かなり大変だったのではないかと想像するのですが、何か工夫された点などはありましたでしょうか。
全店への展開は、2015年7月からパイロット店でのRFID運用を開始から、毎月10店舗ずつ五月雨式に導入店舗を増やしていきました。理由は、小さなトラブルに直ぐ対処したかったことと、店舗スタッフからの質問に対して、きちんと答えたかったからです。全店導入まで時間はかかってしまいましたが、店舗スタッフの不安解消を第一に進めて行ったことが、現在の安定稼働に繋がっていると思います。
RFIDの導入効果について
実際、導入されてから6年ほど経過すると思いますが、効果面などについて、具体的に教えていただけますでしょうか。
店舗でのRFID活用で一番効果があった活用シーンとして、棚卸があります。RFID導入以前は、営業時間に3名ほどがバックヤードに籠って、ストック商品をカウントし、そのあとのハンディターミナルでの読み取りがしやすいように商品の整理作業を行っていました。更に、閉店後には、出勤しているスタッフ全員10名~15名で、店頭の商品の棚卸を行っていましたので、棚卸しにかかる「延べ時間」は、30時間ほどでした。RFID導入後は、日中に3名で1時間、延べ3時間ほどのスキャンで終了していますので、棚卸しカウント時間は、10分の1にすることができました。弊社では、セール月を除く、年10回の棚卸を行っていましたので、店舗スタッフへの負担も、残業などで発生する費用も大きかったのですが、RFID導入によって、解消することができ、非常に大きな効果だったと思います。
物流現場では、ピッキング効率の向上とソーター仕分け能力の向上があげられます。ピッキング作業では、ピッキング効率を約40%引き上げることができました。カートに搭載したスキャナーで、タグを読み取る作業なのですが、商品についているタグを探してバーコード面を見つける必要がなくなったことや、間違ってピッキングした場合でも、かざすだけでエラーとして教えてくれるため、依然は、間違わないように慎重にピッキングしていた部分が、とりあえずアタリをつけてピッキンするようなフローに変わったことが主な要因です。
仕分け作業では、タタミ商品用のソーターとハンガー品用のソーター2機を使用して仕分け作業を行っていますが、両機とも、2倍以上の能力向上が図れました。ピッキング同様に、タグを探す必要がなく、そのまま仕分け機に投入するだけの作業に変わったことが要因です。効果としては、作業フローが単純化されたことで、熟練度を必要としない作業に変わり、作業の平準化も実現できました。
店舗では、入荷検品、POSのお会計時のタグ読み取り、棚卸などに活用しています。一番好評なのが、タグ検索という商品を探すことができる機能で、使用頻度が高いことと、今まで探すことを諦めてしまっていた在庫を見つけることができることは、ストレス軽減にもなっているようです。
物流では、仕分けやピッキング、出荷検品等、様々な場面でRFIDを活用し、バーコードスキャンを行っていた作業は、全て、RFIDへ変更しています。その他にも、音声システムと組み合わせて、納品時にケース内の商品をRFIDリーダーで読み取って検品レーンの指示を出したり、台湾への出荷用のタグ発行に展開したりと、活用の幅を拡大させています。
これからRFIDを導入しようという企業も多いかと思いますが、導入に向けて抑えておくべきポイントなど、アドバイスはありますか?
難しく考えないということと、万能ではないということを知っておくことが必要だと思います。導入箇所を絞ることで、導入のハードルを下げることができると思います。
また、RFIDを導入したからといって、全ての業務が効率化するわけではありません。何度もお話していますが、我々が作業フローを変更したのは、大部分においてバーコードをスキャンするところだけです。RFIDは、局所的な効率化ですので、前工程が追い付かず、パフォーマンスを最大化できなかったり、後工程に新たなボトルネックが発生したりします。前後の業務フローの変更も合わせて検討することが大事だと思います。
続き(後編)はこちらから
EC事業や自社配送、ビームの今後の展望についてお話をお伺いしております。
BEAMSインタビュー【後編】はこちら
株式会社ビームスホールディングス ロジスティクス本部 副部長 竹川誠氏プロフィール 1997年株式会社ビームスへ入社。2002年社内WMS構築、2004年物流改革プロジェクトに参画。2010年基幹システム刷新プロジェクトのプロジェクトリーダーを経て、2012年よりRFIDプロジェクトマネジャーとして、RFIDの全店舗展開を完結。現職にて次世代物流センター構想中。 |
インタビュー・構成:物流倉庫プランナーズスタッフ