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物流業界の人手不足は深刻化。今こそ業務全体の見直しと省人化を。
物流業の人材不足は近年で深刻化しており、早急な対策が求められてきました。依然として厳しい状況は変わりませんが、新しい取り組みを始めている企業も出てきており、業務全体の見直しを行なうことで物流業の人手不足を根本的に改善するタイミングを迎えています。
減少する労働人口と増える物流需要
近年日本国内では、物流業界での労働力不足が深刻化しています。2010年ごろから、インターネットを介した通信販売の発展などによって物流サービスの需要が急増し、ドライバーが不足する事態となりました。国土交通省による「労働力不足対策のアクションプラン」を筆頭に、各関連業界でも対策がスタートしていますが、総合的な日本国内の労働人口の減少もあって、労働力の確保は難しいとも言われています。
2010年の段階には80パーセントを超えていた15~64歳までの人口構成の割合は、2030年には68パーセント、さらに2045年には50パーセント台にまで減少すると考えられており、基本的に働き手の割合が減っていくという厳しい状況の中で、物流業界では仕事量が増加していることになります。
平成30年度国土交通省物流関係予算・税制改正概要では、「物流生産性革命」の取り組みによる効率的で生産性の高い物流を目指す施策を打ち出しています。
他人事じゃない!人手不足による倒産リスク
企業は人手不足になることで、経営が立ち行かなくなり、最悪のパターンでは倒産してしまうリスクすらあります。人手不足になると、残った人材だけでは仕事を回せなくなり、お店や会社を閉鎖して、売り上げを上げられなくなってしまいます。人手の足りない会社やお店では、残り少ない人材だけで仕事を回しているため、疲れや不満が出やすくなってしまい、さらに従業員が辞めたり休んだりして人手不足が進んでしまうでしょう。悪循環となって、人手の足りない会社は最悪、倒産の憂き目を見ることになるのです。
人手が足りなくなる原因としては、お給料が少ない、会社や業界に良いイメージが少ない、募集内容が即戦力ばかり、社員教育が出来ていない、などがあります。
お給料の問題は、労働に見合っただけの支払いがないことで不満となり、従業員が辞めてしまうリスクをもっています。忙しさや仕事のきつさなどに見合っただけのお給料がないと、やる気も出なくなりますし、さらに悪い印象を抱いてしまうこともあります。悪い印象を抱いたままで辞めた結果、会社の愚痴を人に話したり、SNSで発信したりして、悪いウワサが流れて会社のイメージを悪化させ、今度は新規の求人募集にも人が集まらなくなるというケースも考えられます。また、求人で即戦力ばかりを求めている会社や、社員教育の質が悪い会社では、若い新入社員が活躍の機会を失ってやる気をなくし、辞めてしまい、後継者不足に悩むこともあります。
人手が不足した際に、結局一時しのぎの対策しかできずにいると、さらなる悪循環で人手不足倒産のリスクを高める可能性があります。人が足りないことで仕事がきつくなったり、社員教育する暇も技術もないまま即戦力を求めてしまったりすると、さらに人離れや後継者不在といった事態が待っているかも知れません。
ただし、人手は増やせば良いという訳ではなく、売り上げに応じて適切な人員確保をしないと、給料支払いが難しくなって未払い問題へと発展、最終的には人が離れてしまうこともあります。
起こるべくして起こった物流クライシス
物流業界において、インターネット通販の拡大と宅配サービスの増加は大きな影響を与えるものとなり、配送業者が配送依頼を断ったり、注文したものが届きにくくなったりする物流クライシスを引き起こしました。インターネットショッピングが一般的になって、小さな商品や安価な生活用品までインターネットで購入するのが普通になってきています。そのことで、宅配サービスの需要は一気に急増してしまい、これまではお店で購入していたものまで宅配サービスが関わることになりました。
物流業界は急増した需要をこなすために、送料の値上げを行い、その分を従業員の増員や残業代に当てましたが、それでも人手が不足して、労働環境の悪化や慢性的な人手不足が続いている状態です。
また、物流では発送された荷物の受取りのために人が待っていなければいけませんが、不在のために何度もドライバーが同じルートを回り、仕事をスムーズにこなせないという事態も起こりました。近年では宅配会社が通販会社の依頼を断ったり、値上げ交渉を行うなどの動きも起こり、状況の改善を試みていますが、いまだ物流クライシスの完全なる解消には至っていないのが現状です。
人手不足を解消するために取り組むべきことは?
物流クライシスによって、消費者も通販事業者も、さらに物流業界も快適なサービスの享受と提供が出来なくなっています。快適な通販利用と物流業界で働く人の環境改善のためには、物流業界においては、クライシスを解消するため人手不足を解消していくことが急務となります。
人手不足の解消には、今回の変化によって明らかになった業務内容の問題点や新しい時代のニーズへの取り組みを実践していくことが必要です。業務内容の改善を行なうとともに、求人での工夫や、人材の応募を促す企業や業界のイメージUPになるような取り組みも必要となるでしょう。
物流業はこれまでのように、ドライバーと受取人が同じ場所にいて荷物を受け取る同時性を解消することで新たな可能性を見出すことができるかも知れません。宅配ボックスでの荷物の受取りや、配送センターへ受取人が出向いたりといった取り組みも有効です。宅配ボックスの利用による再配達の削減には国土交通省のガイドラインでも触れられています。
また、専門のドライバーを使わず、クラウドソーシングによって地域住民など、配送の素人にも配達を依頼できるサービスなども始まっています。荷物の安全性や信頼性を高めるためのシステムさえあれば、非常に活用価値のあるサービスとなる可能性を秘めています。
こうした対策を進めていくことによって、労働環境が解消されると求人で入ってきた新しい人材の意欲も向上させられる可能性へとつながります。さらに、重量物の取り扱いなどに関する負荷を軽減することで、女性にも働きやすい環境を作り、体力のない人でもチャレンジできる環境として若い人にも魅力ある職場へと変えていくことも必要です。
人手不足を解消するための省人化ロボットやIoTとは
物流・倉庫業では、人手不足を解消するために、人間の役割をサポートする技術が注目されています。最新テクノロジーの導入によって新たな一歩を踏み出すことも、人手不足と労働負荷の大きさを解消することにつながることでしょう。
省人化を実現する自動搬送ロボット
これまで人の手足によって行なってきた倉庫内ピッキング作業を効率化し、人間の肉体的な負担と労働時間を減らすシステムです。AI搭載ロボットが庫内のピッキングラックから最適なラックを選び、作業員の元へ運びます。作業員はワーキングステーションで必要な作業を行なうことが出来ます。商品の入出庫状況の管理からピッキング作業まで、スピーディな運搬によって効率的に進めます。
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共同配送サービス
同業他社が同一カテゴリの商品を顧客に届けるために利用する物流システムです。メーカーなどが自社オリジナルの物流システムを持つことなく、他社と共同で物流部門を運営、利用することで、本業ではない物流にかかるコストを削減します。また、配送される顧客にとっても荷受作業を効率化できるメリットを持っています。基本的にはBtoBでの利用となりますが、大口の配送ではコストをカットして安定的な配送が期待できます。
RFID
RFIDは、タグに埋め込まれたICチップの読み取りによる商品管理が出来るシステムです。無線電子タグというチップの入ったタグによって、バーコードのように1枚ずつリーダーに通さなくても、一定の範囲にある商品情報を一度に読み取ることが出来ます。在庫管理の時間と労働負荷の短縮が期待できるシステムとなります。
さいごに
物流業界では、インターネット通販の発展などによって人手不足が進んでおり、大幅な変化を求められています。業務の問題点を見直し、新しい取り組みやテクノロジーを取り入れることで、物流業界を魅力ある職場に変えて、人材を集めていくことが必要です。